児童養護施設を退園する時、多くの子は就職し、会社の寮やアパートでひとり暮らしを始めます。分からないことも多い手探りの暮らしの中で、周囲の人と馴染めず孤立してしまう子や、早期離職に至る子もいます。また、経験不足からお金の管理ができなくて借金を抱えてしまう場合も。
児童養護施設では、退園後の生活に向けて自立訓練などが行われています。けれど18歳で、ひとりで何でもできるようになるというのは大変なことです。個人差もあるので、心配なことがまだ残っている状態で退園の時期を迎えることもあります。退所児童等アフターケア事業を運営して3年が経つ頃、そんな子たちが安心して施設を退園できる「きめ細かく見守れる住まい」があったら…という思いが強くなってきました。その一つの形として「シェアハウス」という選択肢について考えるようになりました。
ピアホームについてこのシェアハウスを通して実現したいこと
BACKGROUND開設に至る背景
同じ立場の人同士が支え合える、ピアサポートのある住まい
「ピアホーム」のテーマ
児童養護施設などを退園した子たちの受け皿として、既にシェアハウスを運営している団体から詳細な情報をいただくことができ、シェアハウス運営の難しさと可能性を考えた上で、開所に向けて動き出すことにしました。
私たちが運営するシェアハウスを「ピアホーム」と名付け、単に家を用意するだけでなく、見守りつきのシェアハウスにしたいと考えました。
更に、持続可能性や再現性を考えて、スタッフが常駐するというスタイルではなく、必要に応じ、宿泊して密に関わる時期と、通いで見守る時期を組み合わせて運営してみることにしました。
そして、ここで大切にしたい3つの柱を考えました。
自分らしさ
自分にとっての幸せを考えるには、自分らしさについて自己理解できていることが大切なのではないでしょうか。まず自分らしさを大切にしてほしい。
自他尊重
自分を大切にしながら、相手も大切にする暮らし方。それが体験できたら、これから先もいろいろな人と良い人間関係を築いていけるのではないでしょうか。
自律
自立じゃなくて、自律。自分で考え、自分で決められる。ひとりで出来ないことは、人の力を借りられる。そんな力が育ったら、きっと社会でやっていけるはず。
VISIONビジョン
生まれてくる環境は選べないけれど、幸せになる権利は誰にでもあるはず。
親を頼れない若者の存在に社会が目を向けることは、
社会全体にあたたかい循環が生まれることにつながり、社会を、私たちの地域を、
何かあっても「お互いさま」と支えあえる住みやすい場所にしてくれるのではないでしょうか。
ピアホームの運営を通して、「お互いさま」の輪を少しずつ広げていければ、
入居した子たちが将来家庭を持った時も孤立せずにいられるのではないかと思います。
私たちの暮らしを、さまざまな場所で支えてくれている若者に、
感謝の気持ちを一緒に贈り、私たちから変えていきませんか。